介護の仕事に携わる人にとって、利用者のケアや介助を行うことと同じぐらい重要なのは、利用者自身の自立支援です。体が不自由であっても個人のライフスタイルを尊重しながら、生活の質であるQOLを少しでも高めていくためのサポートをすることが、利用者の尊厳を守り、本人の生きがいにもつながります。それは在宅介護においても同様で、身体機能が低下している利用者の生活の場では、利用者の主体性や能動性を引き出しながら自立を促す援助がとても大切です。最近では、在宅での自立支援を助ける便利グッズも数多く開発されていて、積極的に活用されています。
排泄に関する便利グッズとしてはポータブルトイレがあります。排泄物を衛生的に処理することができ、座りやすさや使い勝手にもさまざまな工夫があります。トイレまで行くことはできないけれど、少しの介助でベッド脇にあるポータブルトイレでなら用を足すことができる利用者などに最適です。また、入浴に関する便利グッズには、浴槽に渡すだけで腰を下ろしたり、出入りをする際の補助にもなるバスボードがあります。折りたたみのシャワーベンチや滑りにくい足台などもあり、利用者自らの力で入浴することを支援できます。
利用者にとって一番の楽しみである食事に関する便利グッズもたくさんあります。持ち手の大きなアシストコップ、安定して飲みやすいストローコップをはじめ、お湯でグリップの形が自由に変形するスプーンやフォークなども人気です。在宅介護の場で、自立支援の視点からこうした便利グッズを活用することは、利用者一人ひとりの人間らしい生き方や生活を保障することにつながるでしょう。